宮川庚子(みやかわ かのえこ)記念研究財団第28回「肝臓病医療講演会」及び令和5年度「小規模な相談会を含めた講演会」の報告

本財団主催の令和5年度(第28回)「肝臓病医療講演会(令和5年8月27日 於 日比谷図書文化館小ホール、講師 武蔵野赤十字病院 院長 泉 並木 先生 : NPO法人東京肝臓友の会協賛、東京都後援)」及び「小規模な相談会を含めた講演会(令和5年10月15日 於 当財団、講師 東京大学医科学研究所 先端医療研究センター感染症分野 教授 四柳 宏 先生 : NPO法人東京肝臓友の会協賛)」は、いずれも3年ぶりに完全現地開催されました。

肝臓病医療講演会では泉先生が「肝臓病診療の進歩と日常生活の注意点」をテーマに、最新情報を踏まえて次のように話されました。 

「最近は脂肪肝から肝硬変への進展例が多く肝硬変は自覚症状がほとんどないため、肝臓病ではMRエラストグラフィ、超音波エラストグラフィによる肝硬度測定が最も重要である。肥満がある脂肪肝にはスクワット等レジスタンス運動の後、ウォーキング等有酸素運動の習慣が良い。肝癌の治療として6つの薬物療法(分子標的薬)に加え、新たに2つの免疫チェックポイント阻害薬が保険適用となり、それぞれ副作用に留意して使用されている。肝がん・重度肝硬変の医療費助成は、通院治療の追加、対象月数の短縮など改正され(令和3年9月30日 東京都規制改正通知)、周知、運用されている。」

小規模な相談会を含めた講演会では四柳先生が肝疾患患者さんを対象に「ウイルス制御下の肝臓がんについて」をテーマに、患者さんの視点から分かりやすく話されました。

「核酸アナログ、DAAの投与によりウイルスの排除・制御が飲み薬で行えるようになり、治療適応のある場合できるだけ早く治療を開始することが勧められる。年齢,性,血小板の3因子で構成される簡便なスコアにより、自身の発癌の可能性が高いか低いかを知っておくことは大切である。肝癌抑止には禁煙・節酒・減量・運動・コーヒー摂取などが有効であることが証明されているので、可能なものを取り入れるように心がけるとよい」など留意すべき内容の講演と小規模な相談を実施されました。

当財団は、今後も肝疾患領域の専門医・研究者、患者さんに貢献できますよう微力ながら活動を続けて参ります。ご支援よろしくお願い申し上げます。