宮川庚子(みやかわ かのえこ)記念研究財団第29回「肝臓病医療講演会」の報告

本財団主催の令和6年度(第29回)「肝臓病医療講演会」(講師 東京医科歯科大学(現 東京科学大学) 大学院医歯学総合研究科 消化器病態学分野 肝臓病態制御学 教授 朝比奈 靖浩 先生 : NPO法人東京肝臓友の会協賛、東京都後援)は令和6年9月29日、連合会館 (千代田区神田駿河台) において開催されました。

朝比奈先生は「放っておくと怖い脂肪肝 ~あなたは大丈夫ですか?~」をテーマに最新情報を踏まえて次のように話されました。

最近、肝臓病の疾病構造は急速に変化し、脂肪性肝疾患が急増している。
昨年、米欧を中心に脂肪性肝疾患の新しい分類と呼称が提唱され、わが国でも用いられるようになった。
例えば、これまで非アルコール性脂肪肝炎 (NASH)とされていたものの殆どは、新しく代謝機能障害関連脂肪肝炎 (MASH)と分類・呼称されるようになった。
脂肪性肝疾患から肝硬変、肝がんへと進行するリスク因子としては肝線維化が重要であり、FIB-4 index(肝臓学会ホームページ/診療情報: 65歳以上は高くなる)によるスクリーニングや、MRエラストグラフィや超音波エラストグラフィによる肝硬度測定が有用である。
脂肪性肝疾患に対する治療として、肥満の治療の他、食事療法や、運動療法が基本となる。
2 型糖尿病を合併したもの等に対しては薬物治療も適用となる。
アルコール性の脂肪性肝疾患では、禁酒が重要であり、本年厚生労働省からは「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」が公表された。